カメラで撮影した写真には、立体感がありませんね。でも、ヒトは物を見て立体感を感じることができるし、音楽を聞いて、音の広がりや奥行きを感じることができます。
その秘密は「脳」にあります。脳は、思考、記憶、命令など、たくさんの仕事をこなすコンピュータのようなもので、五感からの情報も、すべて脳に送られ処理されているのです。
鉛筆を手に持って、右目と左目で交互に見てください。鉛筆の位置がずれて見えませんか。この右目からの情報と左目からの情報は別々に脳に送られますが、このずれを脳で処理し、形や奥行きを判断しています。耳も同じで、右耳と左耳とで感じる微妙な音の違いを脳で処理し、方向や距離を判断しているのです。
また脳は、視覚のみ・聴覚のみというようにひとつの感覚を処理するだけではなく、いくつかの感覚を処理し、それらを総合して判断しています。
目の前にミカンがあると、目でまず見て(視覚)、手にとり(触覚)、においを嗅いで(嗅覚)ミカンであることを確認して食べます(味覚)。もしそのミカンが、クニャっとしていたり、変なにおいや味がすれば、食べられないと判断しますね。
このように、ミカンを食べるという単純なことでも、脳は五感をフル活動させているのです。
《仮想の世界・・・バーチャルリアリティ》
ジェット機を操縦して、大空を自由自在に飛びまわる!カッコイイけど、普通の人はなかなかできないことですね。
しかし、バーチャル・リアリティ(VR:仮想現実)を利用すると、みなさんも簡単にパイロットになることができるんですよ。
このVRの世界では、大昔の時代に行くことも、ミクロのからだになって、ヒトの血管の中に入っていったりすることもできます。
それでは、VRとは、いったい何なのでしょうか。
VRというのは、五感に情報を送り、現実にはそこに存在しない世界を、ヒトの脳の中に作りだすことで、ゲーム機をはじめいろいろな分野に応用されてきています。
今後、さらにVRの技術が進み、よりリアルな体験ができるようになると、現実の世界と区別がつかなくなってしまうかも知れませんね。