みなさんは、お湯に手を入れると「熱い」と感じ、けがをすると「痛い」と感じますね。このように、手でふれたり、肌で感じることを「触覚」といいます。
皮膚には、感触・力・痛さ・温かさ・冷たさの5種類の刺激を感じる部分があります。これらは、からだの場所によって数がちがい、たとえば、力を感じる部分は指先に、感触を感じる部分は唇や舌の先に、痛みを感じる部分は目の表面に、温度を感じる部分は顔に多く集まっています。
脳や感覚器が集まっている顔や、ものに触れることの多い指先などの触覚は敏感にできています。しかし背中は、なんと5センチメートル離れた2点を同時に突いても、1点として感じてしまうぐらい鈍感なのです。
《痛いのは危険のしるし》
皮膚で刺激を感じる部分を感覚点といい、そのうち痛みを感じる部分は痛点と呼ばれています。この痛点の数はとても多く、1平方センチメートルあたり100〜200個もあります。他の刺激を感じる感覚点は、合計しても50個に満たないのに、なぜこんなに痛点が多いのでしょうか。
けがをして出血しているときを考えてみましょう。もしも痛点が少なくて、傷の部分を痛く感じなかったら、血が出ていることに気づかないで、場合によっては死んでしまうかもしれません。
また、冷たい氷や熱いお湯に手がふれたときに「痛い」と感じたことがありますね。本当なら「冷たい」とか「熱い」とか感じるはずなのに何か変です。実は、温度を感じる冷点や温点は、とても冷たい温度や高い温度を痛みとして反応することで、凍傷や火傷の危険から身を守るのです。
痛みはヒトにとっての危険信号です。このため、痛点をはじめ、痛みを感じる部分はとても多いのです。