天気予報を出すには、雲のようすだけでなく、いろいろな気象情報が必要です。そのために、日本各地の気象台や測候所が中心になり、気温、湿度、風向、風力、気圧、降水量など(まとめて気象要素といいます)を観測しています。
気温
気温とは、大気の温度のことで、地上1.25-2.Omの高さで測ることに決まっています。普通は百葉箱の中で測ります。百葉箱には、いろいろな観測機器が備えられています。こういう観測機器が設置されている場所を、露場といい、短い芝が植えられています。
《気温を測定する高さが決まっている理由》
- (1)地面のすぐ近くでは、地面の影響を受けやすい
- (2)人間の身長とほぼ同じ高さの気温は、生活環境を表すのに便利
湿度
湿度を測るには、2本の温度計(ぬれたガーゼをまいた湿球と何もつけない乾球)を使います。空気の湿りぐあいにより、水の蒸発のしかたがちがいます。乾いている時は、湿球から水分がどんどん蒸発し、湿っている時ほど蒸発は少なくなります。水が蒸発する時には、熱をうばうので、その分だけ湿球の温度が下がります。だから湿球の目盛りの下がりぐあいで、湿度がわかるのです。
《いろいろな湿度計》
- モニターやゼンマイのファンで風をおくって測る「通風乾湿計」
- 人間の毛髪を使った「毛髪湿度計」(1783年スイスのソシュールの発明)
- 自動的に記録できる「自記湿度計」などがあります。
風向
風向とは、風の吹いてくる方向のことで、普通は16方位で表します。風向計を使って測定しますが、風はたえず変化しているので、地上10mくらいの所の風を観測時刻前10分間の平均で表します。
風速
風速とは、1秒間に空気の移動する距離(空気の秒速)のことで、毎秒何m移動したかで表します。風速計で測定しますが、風速もたえず変化しているので、観測時刻前10分間の平均で表します(平均風速)。また、刻々と変化する瞬間の風速で表すこともあります(瞬間風速)。目測で風速の見当をつけるには、気象庁風力階級表が便利です。
最大平均風速の記録
- <平地>69.8m/秒 1965年室戸岬
- <山岳>72.5m/秒 1942年富士山
最大瞬間風速の記録
- <平地>85.3m/秒 1966年宮古島
- <山岳>91.Om/秒 1966年富士山
気圧
気圧とは、大「気」の「圧」力です。私たちは、空気の底で生活しています。ふだんは感じませんが、私たちの頭上はるか1000kmにも空気が広がっています。その重さが、私たちの体にかかっており、大きさは1cm2の面積あたり1kgの力になります。
1643年に、イタリアのトリチェリーは、一方を閉じたガラス管に水銀を入れて逆さにすると、水銀柱が約760mmになることを見つけました。同じ実験を水でやると、水柱が約10mにもなるのです。これは、水銀や水が入った槽の液面を、大気がおしているため(大気圧)、ガラス管の中で、それぞれが一定の高さまで、押し上げられているからです。
気象では、気圧の単位はヘクトパスカルを使います。水銀760mm分の気圧は1気圧といい、1013ヘクトパスカル(hPaとかく)になります。気圧は水銀気圧計やアネロイド気圧計で測ります。
《アネロイド気圧計》
小型なので壁にかけて使えます。アネロイドとは、液体がないという意味で、水銀気圧計のように液体は使わず、上下両面を波打たせ、ほぼ真空の容器が気圧の変化により、へこんだり、ふくらんだりする動きを拡大させて、針を動かしています。
《トリチェリー》
(1608-1647)イタリアの物理学者、数学者。
1643年、同門のビチェンツォ・ビビアー二とともに「トリチェリーの真空」として知られる実験を行った。これは人類が作った最初の真空であり、最初の気圧計が作られたのである。
真空の存在が明らかになってから、それに続く人たちの研究や実験によって、現在のような技術社会が形成された。すべては真空の発見によって始まったことなのである。
ところで、気圧は、自分の上にある空気の圧力ですから、自分が高い所にいると、それだけ空気がうすくなり、気圧が小さくなります。実際に気圧を測っている場所の高さはまちまちなので、高さによる補正をしています。気象台から発表される気圧は、すべてこの補正をしたものです。
《高さによる補正(海面更正)》
海面(0m)で、気圧が1013hPaであっても、100m高くなることに約12hPaずつ下がります。札幌の街で1013hPaでも、手稲山(1024m)では、約900hPaぐらいになります。気象台で発表する気圧は、すべてこの高さによるちがいを補正して、海面での気圧になおしたものです。
この補正のことを海面更正といいます。