では、リニアモーターカーはどのようなしくみで浮かび上がっているのでしょうか。
ここでは「反発磁気浮上方式」について説明しましょう。
みなさんは、磁石のN極とN極、S極とS極とがそれぞれ反発しあうことを知っていますね。
リニアモーターカーは、この磁石の反発する力を利用して浮いているのです。
車体の下には強力な磁石が付けられていて、一方ガイドウェイ(軌道つまりリニアモーターカーの線路)にはコイルが並べられています。列車が高速でコイルの上を通りぬけると、コイルに電流が流れて電磁石になり、この電磁石と列車の磁石が反発して車体を浮かせるのです。(電磁誘導作用)
しかし、ある程度の速度で列車がコイルの上を通りぬけないと、列車を持ち上げるだけの電磁誘導の力は生まれません。ですから、止まっている時やスピードのおそい時、車体は浮かび上がってはいないのです。
そこでリニアモーターカー・マグレブは、はじめゴムタイヤで走りながらだんだんスピードを上げていき、十分な磁気の反発力が生まれたところで浮かび上がります。これは、飛行機が離陸する時に、タイヤで滑走路を走るのとにています。
鉄道総合技術研究所の宮崎実験線では、主にこの方式がテストされていました。
しかし、1993年(平成5年)から実験が開始された山梨実験線では、コイルをガイドウェイの側壁(横側にある壁)につけ、より安定した走行ができる「誘導反発吸引磁気浮上方式」と呼ばれる新しい方式が採用されています。
《超伝導磁石》
ある種の材料を非常に低温にすると、電気抵抗がなくなります。この状態で一度電流を流すと、温度を低温に保つかぎり、永久に電流は流れ続けます。このような性質を超伝導といいます。
ですから、超伝導によって生じる磁石の力も、温度が上がらなければずっとそのまま残ります。このようにしてできる磁石が超伝導磁石で、最近では普通の磁石(永久磁石)にくらべて100倍近い力を持つものもできています。
何トンもある列車を浮き上がらせるためには、非常に力の強い磁石が必要です。
そのためリニアモーターカー・マグレブには、列車側にこの超伝導磁石が使われています。
※超伝導磁石は、-269℃の液体ヘリウムで冷やされています。