空気や水の流れのひみつは?

勢いよく通り過ぎる電車や大きなトラックの近くに立っていると、引き込まれそうになります。

また、川や河口近くの海で泳ぐと、からだが流れの中心の方へ引っぱられることがあります。これらのことは、空気や水の流れのため起こることなのです。

空気や水のようなものを流体といいます。流体によるいろいろな現象を調べてみましょう。


流体によるいろいろな現象は、17世紀にスイスの数学者であるベルヌーイによって研究され、その性質は「ベルヌーイの定理」としてまとめられています。

実験で、ある装置に水を一定の強さで送ると、管の太いところでは流れは遅く、細いところでは流れが速くなります。

そのために、立ててある側管の水位は、流れのないときはどれも同じになっていますが、流れているときは、細いところほど圧力が低くなるために、水位が低くなってしまいます。

 

ベルヌーイの定理によって、身のまわりのいろいろな現象を説明することができます。次の現象を考えてみましょう。

霧吹きの吹き口を強く吹くと、吹き出し口のところの空気が速く流れるので、空気の圧力が低くなります。そのため、水が管の中を上がってきて、霧となって散っていくのです。

また、野球でピッチャーが投げる変化球もベルヌーイの定理で説明することができます。

ピッチャーは、ボールの持ち方や投げ出す角度などを変えることにより、ボールに回転をつけています。回転しながら進むボールのまわりには、空気の流れの差が生まれ、ボールは変化することになるのです。このように、回転しているボールなどが進む道筋を変え、曲がる現象を「マグヌス効果」といいます。

他に、「ふき玉」という昔からあるおもちゃにもベルヌーイの定理が生かされています。

吹きこんだ息によって浮かび上がったボールは、かたむけても落ちることなく、空中にとどまっています。息を吹き入れると、上向きの空気の流れができますが、そこは周りより圧力が下がるので、ボールは流れの外に出ていけないのです。

 

《ベルヌーイの定理》

空気や水の流れが速くなると、その速くなった部分は圧力が低くなります。速く流れるほど圧力は下がり、まわりの空気や水が流れこみます。

 

《ベルヌーイ》

(1700~1782)有名な物理学者、数学者一家に生まれました。ダニエル=ベルヌーイはスイスの数学者で、流体力学におけるベルヌーイの定理の発見者として知られています。

 

《マグヌス効果》

回転しながら進む物体にその進行方向に対して垂直の力(揚力)がはたらく現象をいいます。

 

《マグヌス》

(1802~1870)ハインリヒ=グスタフ=マグヌスは、ドイツの実験科学者で、「マグヌス効果」が有名です。



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