とても恐しい静電気があります。それは雷です。
昔から雷は、神が天からふりおろした恐ろしい「石おの」だとか、神の武器である「天の火」などといわれ、大変おそれられてきました。
1752年に、アメリカの政治家で科学者のベンジャミン・フランクリンが、たこを使ってライデンびんに電気をためて、雷が静電気で起ることをたしかめました。(フランクリンが、こんな危険なことをして無事だったのは、奇跡に近いことでした。みなさんは、けっしてまねをしてはいけません。)
では、雲の中になぜ静電気が起こるのでしょう。今でもはっきりしたことはわかっていませんが、次のようにして静電気が発生すると考えられています。雲の中の水の粒が、上昇気流でふき上げられる時に、たがいにまさつし合ったり、粒がちぎれたりします。
この時に、プラスの電気を持った粒と、マイナスの電気を持った粒に分かれます。そして、プラスとマイナスの電気を持った粒は、雲の上と下にそれぞれに分かれてかたまり、プラスのかたまりとマイナスのかたまりの間で放電が起り、雷となるのです。雷は、雲と雲、雲と地表との間で起こります。
空気は、電気を通さないのが普通です。しかし、雲の中にプラスとマイナスの電気がたくさんたまり、その間の電圧の差が、1億ボルトから1O億ボルトにもなると、電気を通しにくいはずの空気の中を、数万アンペアという電流が、電光とともに瞬間的に流れます。これが雷です。
1回の電光は、100ワットの電球を10万個、1時間つけられる電気の量と同じくらいです。
<人工雷>
ハンデグラフ起電機を使って、人工的に雷を起こすことができます。2つの金属を向かい合わせて、それぞれの金属にハンデグラフ起電機を使って、プラスの電気とマイナスの電気をためていきます。プラスの電気とマイナスの電気がそれぞれの金属にたまっていくと、やがて2つの金属の間に火花がとんで、人工の雷が起こります。
このような実験から、雲と雲の間や雲と地面の間に、たくさんのプラスとマイナスの電気がたまると、雷が起こることがわかります。
《バンデグラフ起電機》
バンデグラフ起電機の内部は、2つのローラにゴムのベルトがかけてあり、モータでベルトを回すようになっていいます。
ローラは、一方がゴムに対しプラスに、もう一方がマイナスに帯電する物質でできており、ベルトが回って、ローラとこすれると、ベルトは、それぞれマイナスとプラスに帯電し、電気を運びます。
運ばれてきた電気は、先がギザギザになっている金属の板(集電板)で集められ、アルミニウムの球に貯えられます。ローラを入れかえるとプラスとマイナスを逆に貯えることができます。小さなものでも数万ポルト、大きなもので100万ボルト以上の高電圧を作ることができます。