電波は光と同じく電磁波とよばれる波の一種で、1秒間に30万kmの速さで進みますが、このことがわかったのは19世紀も終わりになってからのことです。
電波は、人間がつくり出したものではなく、もともと自然界にもありました。電気を放電して起こる雷も電波を出します。また宇宙の星の中には、電波を出す星もあります。
19世紀の中頃、電気の放電や雷が落ちたときに、遠くまで影響をおよぼす力(電波)があることが発見されました。そのころは、まだ身近な光についてもよくわかっていなかったので、多くの人がその正体を探ろうとしていました。
1864年イギリスのマクスウェルは、電波も光も同じ電磁波の一種であり、速度が等しいことを理論的に証明しました。
1888年ドイツのヘルツは、マクスウェル理論を実験で確かめ、電波が本当に存在すること、光と同じく反射、屈折する性質があることをつきとめました。(ヘルツの実験)
その後発見されたX線やガンマ線も、光より波長の短い放射線と呼ばれる電磁波の一種です。
電波の発見からわずかのうちに、電波は無線通信に利用されるようになり、ラジオやテレビ放送、レーダーなどに発展していったのです。
《マクスウェル》
(1831-1879)ジェームズ・クラーク・マクスウェルは、イギリス・スコットランドの理論物理学者であり、マイケル・ファラデーによる電磁場理論をもとに、1864年にマクスウェルの方程式を導いて古典電磁気学を確立しました。さらに電磁波の存在を理論的に予想し、その伝播速度が光の速度と同じであること、及び横波であることを示しました。また、土星の環や気体分子運動論・熱力学・統計力学などの研究でも知られています。
《電磁波》
「電磁波」という正式な呼び方は、電界と磁界の波、あるいは電気力線と磁力線の波ということを正しく言い表した学問上の呼び方です。
電磁波は波と粒子の性質を併せもち、散乱や屈折、反射、また回折や干渉など、波長によって様々な波としての性質を示します。
その性質のため、電磁波の呼び方は歴史上の事情も重なり、バラエティに富んでいます。波長の長い方から「電波」、「光(赤外線・可視光線・紫外線)」、「放射線(X線・ガンマ線)」があり、電波の中も長波、中波、短波、ミリ波など、細かく分かれて、その用途も様々です。