自然の中で、生き物たちは何を食べて生きているのでしょうか。
バッタは草を食べて生きています。そしてカエルがバッタを食べます。さらにヘビがカエルを食べ、そのヘビはフクロウに食べられます。
このように生物には「食べる」「食べられる」の関係があり、この関係は鎖のようにつながっているので食物連鎖と呼ばれています。
食物連鎖の始まりは植物です。植物は光合成をして、太陽の光エネルギーや二酸化炭素、窒素からデンプンなどの栄養を作り出します。そして、この栄養をもとに枝を伸ばして葉をしげらせ、花を咲かせて種や実をつけます。
この植物を食べているのがバッタやチョウなどです。これらの草食動物は、根、葉、実などを食べ、植物が作った栄養を取ることで生きています。
しかし、草食動物はクモやカエルなどの肉食動物に食べられます。肉食動物は、草食動物をはじめとする他の動物を食べることで、生きていくための栄養を取っています。
そして、ワシやフクロウなどの大型の肉食動物が食物連鎖の頂点になります。
食べられるものの数はそれを食べるものより多いのがふつうで、生物の数量を右の図のように表すと下のものほど多く、上にいくほど少なくなっていきます。
また自然界では、ある生き物だけふえると、エサが少なくなったり、それを食べる天敵がふえたりして、様子が大きく変わることがあります。
北極に近いベーリング海のアリューシャン列島。ここのラット諸島とネェア諸島には、ともにラッコが生息していました。しかし、ネェア諸島のラッコは毛皮目的の狩猟によって激減してしまい、現在ではわずかしか生息していません。この影響でネェア諸島の海の中はずいぶん変わってしまいました。
ラッコがいなくなっただけで、どうしてこんなに違いができたのでしょうか。
ラッコは、ウニ、エビ、カニをエサにしています。ラッコがいなくなり、食べられることがなくなったウニ、エビ、カニはふえはじめ、さらにエビやカニをエサにするタコもふえました。反対に、ウニがふえたためエサである海藻は食べられて減ってしまい、そこを住みかにしていた魚たちも少なくなってしまいました。
ラッコという一つの種がいなくなったことが他の種にも影響し、結果として海の中の様子が全く変わってしまいました。このように、生物は食物連鎖をとおして、そこに住む他の生物と大きくつながりを持っているのです。