みなさんは、あるものを見て、それが生きているかないかをどうやって見分けますか。
それを見分けるためには、いくつかの条件が必要です。
たとえば、チューリップの球根はどうでしょうか。土に植えると、葉や茎をのばし、花を咲かせて新しい球根をつくります。
これが石なら、土に植えても、芽はでないし、花も咲かず、まして新しい石をつくりだすことなんてありませんね。
このように、生物は、親が子を生み、その子どもが親に育ってまた子どもを生むというようにして、同じ仲間をふやしていきます。これを「生殖」といいます。
動物は食べ物から栄養をからだに取り込み、植物は太陽の光エネルギーを使って栄養をつくりだします。
このように、生物はからだを維持し、成長していくために、たくさんのエネルギーを必要とします。また、いらなくなったものはからだの外へ出します。
栄養を取り込んでエネルギーとし、余ったものを外に出すこの活動を「代謝」といいます。
さらに、生物は、世代を新しく重ねるごとに、生活する環境の変化に合わせて生きていける力を備えていきます。この「環境適応」によって、生物は地球上の様々な環境に生きているのです。
それでは、こうした生物のからだをつくっているものに、何か共通する特徴はあるのでしょうか。生物のからだを顕微鏡などで拡大して見ると、小さな部屋が集まっているのが観察できます。これが「細胞」と呼ばれる生物のからだをつくっている単位なのです。
体長10m以上あるクジラでも、体長1mmもない昆虫でも、そのからだの中でいろいろな器官がたくみに働くことによって生きています。そして、これらの器官は、いろいろな細胞が集まってできています。
細胞はミクロのハイテク工場
- ゴルジ体:細胞の中で作られたタンパク質をたくわえておく倉庫
- 小胞体:細胞の中で作られたタンパク質を運ぶ配送係
- リボゾーム:細胞が使うタンパク質の組立係
- ミトコンドリア:細胞が働き続けるためのエネルギーを作り出す発電所
- 核:細胞全体をコントロールする司令室
細胞は生物の基本単位なので、ゾウリムシやアメーバなどのように、たった一つの細胞でもちゃんと生きている生物(単細胞生物)がいます。一つの細胞だけでも生きているわけですから、呼吸もしていますし、栄養を外から取り入れ、いらなくなったものは外にすてています。私たち人間のようにたくさんの細胞が集まってできている生物(多細胞生物)でも、一つ一つの細胞はこうした機能をちゃんともっています。
では、単細胞生物と多細胞生物では、どのような違いがあるのでしょうか。
一つ一つの細胞は小さいので、大きなからだをつくるためには多細胞生物でなければなりません。また、多細胞生物になると細胞が分担して仕事をするようになり、たとえば、おもに消化・吸収にかかわる細胞グループや、おもに呼吸にかかわる細胞グループなどがあるのです。ヒトのからだは20O種類以上の細胞グループ、全部で約60兆個もの細胞でできているのです。
この地球には、動物は3,000万種、植物50万種、キノコやカビといった菌類でも8万種もの生物がいると言われています。中には1万メートル近い深海にすむナマコのなかまもいれば、8千メートル級の山々を渡る鳥もいます。
地球上の様々な環境で息づく生命。そのすべてが「細胞」で構成され、「代謝」「生殖」「環境適応」という共通の営みを行っているのです。
《火星に生命がいた?》
1996年8月アメリカ航空宇宙局(NASA)は、火星に生命が存在した有力な証拠を発見したと発表しました。NASAが火星から飛来した隕石を調べてわかったもので、この隕石の中に細胞に似た単細胞生物の化石のようなものを発見したというのです。
この化石のまわりからは、生物が腐敗した時にできる有機物(PAH)や、細菌が作ったような丸い形の鉱物(磁鉄鉱)も見つかりました。また、この化石は隕石中の炭酸カルシウムの部分にあり、これは生物が生きていくために欠かせない大気や水があった可能性を示すものです。
これらの証拠は、生命がいないとしても説明のつくものですが、同じ部分から発見されたことで、NASAの科学者たちはそこに生命がいたと考える方が自然だと考えています。これから、続々と火星に探査機を飛ばす計画があります。みなさんが大人になるころには、もっと驚くべきニュースが飛び込んでくるかも知れませんね。