音をそのまま電気信号に変えて、電線を通して伝えることはできますが(電話など)、そのまま電波にすることはできません。それは、電波にするにはあまりにも音の周波数が低すぎるためで、たとえできたとしても、一つの局しか放送することができません。
そこで、搬送波という周波数の高い波をつくり、これに伝えたい信号をのせて、電波として送ります。
みなさんはラジオの周波数を選局するとき、“567KHz(キロヘルツ)"などと合わせますが、これは搬送波の周波数のことなのです。放送局によって搬送波の周波数を変えているので、たくさんの中から好きな放送局を選ぶことができます。
<信号のおくりかた>
音の信号を搬送波にのせることを変調といい、中波や短波の放送で使われている振幅変調(AM)とFM放送で使われている周波数変調(FM)とがあります。
振幅変調は、信号の波形に応じて、搬送波の振幅を変える方法です。かんたんな方法なので最初に実用化されています。
周波数変調は、信号の波形により、搬送波の周波数を変える方法です。複雑な方法で、より高い周波数の搬送波が必要ですが、雑音に影響されにくいのできれいな音が得られます。
それでは、どのようにして送られてきた電波をとらえ、再び音のすがたにもどすのでしょうか。鉱石ラジオを使って振幅変調された電波の受信のしくみを説明してみましょう。
まず、電波をとらえるためにはアンテナが必要です。アンテナは、電波をとらえる網だと思ってください。受けとめる電波の周波数によってアンテナの長さを決めますが、ラジオ放送では、テレビなどとちがって放送局の電波が強いので、かんたんなアンテナでも電波をとらえることができます。もちろん屋外に長く張るほど、電波をよく受信することができます。
コイルとコンデンサを組み合わせた同調回路で、アンテナで受けた電波の中から、聞きたい放送局の電波を選びだします。ここまでは、FM放送やテレビ放送も同じしくみです。
選びだされた電波は、まだ変調された高い周波数の信号なので、これを鉱石(ゲルマニウムなど)によって信号の片側だけを取り出し、元の音の形にもどします。このことを検波といい、鉱石のように検波するものを検波器といいます。検波された信号はイヤホンで聞くことができます。