ヒトの筋肉は大人で500本以上あります。腕、足などそれぞれの目的に応じた伸び縮みを行い、骨を自由自在に動かしています。それとは違い内臓などをつくる筋肉は、意志とは関係なく動きます。このように筋肉は随意筋と不随意筋の2つに分けられます。
(1)随意筋
自分の意志で曲げ伸ばしができ、腕(上腕二頭筋)や足(大腿筋)など、運動するときに使う筋肉を随意筋といいます。
ヒトの筋肉の約半分は、この随意筋なのです。
この筋肉は鍛えると強くなります。これは筋肉をつくる繊維の本数が増えるというわけではなく、筋肉の繊維が太くなるためなのです。
この筋肉は、大きな力を発揮することができますが、疲れやすいので時々休ませないといけません。
(2)不随意筋
胃や腸などを作っている筋肉で、自分の意志に関係なく動くことができる筋肉を不随意筋といいます。
これは、随意筋に比べると細くて短かく、力強さはありませんが、休むことなくいつまでも動き続けることができる筋肉です。
心臓を動かしている心筋は、不随意筋なのですが、随意筋と同じような力強さをもっています。心筋は、生まれた時から同じ筋肉で動き続けています。
それでは、500本の筋肉の中で、最大の筋肉と最小の筋肉はどこにあるでしょう。
一番小さなものは耳の中にある4〜5mmのアブミ骨筋です。この筋肉は、大きな音からヒトを守るためのボリューム調整の役目をしています。お米一粒ほどの筋肉でも、とても大切なはたらきをしているのですね。
逆に、一番大きな筋肉は、お尻から足の内側の太ももにのびている約50cmの大臀筋です。
《スポーツのあとの筋肉痛》
みなさんは、スポーツをした次の日、筋肉痛になってからだ中が痛くなったことはありませんか。年齢が40代、50代になると、次の日に筋肉痛になるのではなく、その翌々日に痛くなったり、痛みが取れるのに時間がかかったりします。
これはどうしてでしょうか?
その理由を知るために、どうして筋肉痛になるのか、そのしくみを考えてみましょう。
筋肉痛は、スポーツによって筋肉に細かい傷ができることによっておこります。この傷をなおしてくれるのが血液なのです。血液が筋肉の傷を治療したときに出てくる排出物は、筋肉全体を圧迫してかたくしてしまいます。このときからだを動かすとヒトは痛みを感じるのです。これが筋肉痛です。
ヒトは年をとると筋肉が細くなり壊れやすくなるうえ弾力性もなくなります。血液の循環も悪くなるため、筋肉の傷を治療するのが遅くなるのです。
みなさんのお父さんが、ゴルフから帰ってきた次の日に筋肉痛になっていれば、血行が良くて健康なお父さんという証拠です。