石と鉄で実験してみましょう。
ばねはかりでそれぞれの重さを空気中で量り、その後、水の中で重さを量ります。
・石の場合:300gの石を水の中で量ると100gになりました
・鉄の場合:1600gの鉄を水の中で量ると1400gになりました
石も鉄も、水の中に入れると軽くなることがわかりました。
では、もう一つの確かめの実験をしてみましょう。
・ばねはかりを使って、水の入ったビニール袋を空気中で量ると200gありました。
・その袋を水の中にゆっくり入れるとはかりの目盛はだんだん小さな値を示すようになります。
・完全に水の中に入れてしまうと、目盛は0gとなります。
つまり、水の中に入れた物と同じ体積分の水の重さだけ軽くなるのです。プールやおふろに入った時、体がふわっと軽く感じたことがありませんか。それは、あなたの体でおしのけた水の重さだけ体が軽くなったためです。
水の中にある物には浮力と呼ばれる上向きの力がはたらきます。このきまりをアルキメデスの原理といいます。鉄でできている船が水に浮かぶわけも、アルキメデスの原理で説明できます。
《アルキメデス》
アルキメデスは、ギリシアの数学者です。このきまりを発見したのは、今からおよそ2000年も昔のことです。
ある日、アルキメデスは、王様によばれ、王様の王冠が純金でできているかどうか、きずをつけずに調べるよう命ぜられました。アルキメデスは、どうしたものかと考えながら家に帰り、おふろに入りました。その時です。浴そうから湯があふれたのを見て、「あっそうだ。」と大発見をしたのでした。
あふれた水の体積は、王冠の体積と同じになります。
したがって、
王冠の重さ÷王冠の体積=1cm3あたりの金の重さとなります。
純金1cm3あたりの重さ(比重)はわかっていますから、その重さと同じにならなければ、王冠はにせ物ということになるのです。
アルキメデスは、王冠と同じ重量の金塊を用意し、これと王冠を天秤棒に吊るしてバランスを取り、水を張った容器に入れました。空気中では天秤棒は、てこの原理によりバランスが保たれています。てこの原理は水中でも変わらないので、金塊と王冠を水中に沈めても、天秤棒のバランスは保たれるはずです。しかし、水中でのバランスが崩れたために、王冠と金塊の比重が違うということが判明し、金細工師の不正が明らかになりました。
アルキメデスが発見した原理は浮力の原理ですが、王冠のエピソードによって、物質による密度の違いを説明する際に引き合いに出される場合があります。