太鼓をたたいてから、太鼓の皮にさわってみると、激しくふるえているのがわかります。この皮を手で強くおさえると、ふるえは止まり、音は出なくなります。
次に、太鼓のそばに、ろうそくの炎を近付け、太鼓をたたいてみます。すると、炎がゆれるのが見えるはずです。
音はもののふるえで起こり、このふるえのことを振動といいます。
このように、空気中で、発音体が(音を出している物)振動すると、この振動が空気に伝わり、波となって伝わっていきます。
この波を、音波とよんでいます
では、そのしくみをくわしく説明してみましょう。
太鼓をたたくと、太鼓の皮がへこみ、まわりの空気がうすくなります。次に、皮がはね返ってふくらむとまわりの空気は押されて濃くなります。このように太鼓の皮が振動するたびにうすいところと濃いところができて、音の波つまり音波となります。こういう波を「たて波」または「疎密波」といいます。これに対し、水の波は水面が上下に振動するので「よこ波」といいます。
空気がなければ音は伝わらないことを調べる実験を考えてみましょう。
真空をつくることができる容器にベルを入れ、容器の中の空気をぬいていきます。
このとき、ベルを鳴らし続けていると、空気がぬけていくにつれて、音がだんだん小さくなっていくことがわかります。
このことから音波は空気を伝わっていくことが確かめられます。
「音は何を伝わって聞こえるのか」
それがわかってきたのは、17世紀の中ごろです。
イギリスのボイルが、ドイツのゲーリケの発明した真空ポンプ(空気をぬく機械)を使って、音が空気を伝わる波だということを確かめたのです。
《ゲーリケ》
(1602〜1686)真空に関する実験で有名なドイツの物理学者、政治家。1654年自分の発明した真空ポンプを用いて「マグデブルクの半球」の実験を行い、大気圧の存在を示した。また、静電気現象についての研究も行った。