アメリカの宇宙飛行士が月面に鏡を地球に向けておいてきました。この鏡に地球から光を送り、はねかえってきた光によって月の表面の変化や月との距離の観測に使うのです。
あの遠い月に送れる光ですから、そうとう強力な光でなければなりません。また、小さな鏡にうまくあてられるのですから、進む方向(指向性)が大変正確な光でなければなりません。ここで使われている光がレーザー光です。
レーザー光の発明は1960年、ピンクルビーの単結晶を使って赤色の光を出すことに成功したのが最初です。ルビーなどの固体をつかうものは、固体レーザーとよばれます。
ルビーの細い棒に強力な光を送りこむと、ルビーの原子が発光します。その光が次の原子にあたるとさらに強く発光し、次の原子にあたります。このように、次々と強い光となっていくのです。ガス放電管を光らせ、管の両はしの特別な鏡を使ってつくるレーザーもあります。使うガスによって色をかえることができます。赤色はネオンやヘリウムレーザー、緑色はアルゴンレーザーなどです。
電卓の表示などに使われている特別な半導体物質を組み合わせ、これに電流を流してレーザー光をつくることもできます。これは、電流の強さで自由に強さをかえることができますから、いろいろな事に利用されそうなレーザーですね。
レーザー光には、(1)強い、(2)単色、(3)指向性、(4)集束性(どこまでも広がらない)などの特色がありますから、いろいろな分野で利用されています。
たとえば、発射レーザー光と反射レーザー光との干渉を手がかりにして正確な距離の測定ができます。また、一点にエネルギーを集中できるので、眼球のおくの網膜がはがれる病気の治療や、特別に強いものは金属の加工に利用されています。さらに、家庭の中でも、コンパクトディスクプレーヤーなどにレーザー光が利用されています。
これからも、レーザー光のはね返りかたから大気の上部のようすがわかるので公害の監視をしたり、光の強さを自由に変えることのできる半導体レーザーで光通信ができるなど、ますます利用が広がっていくと考えられています。