光ってどんな性質があるの?

太陽の光を鏡にあてると、その部分だけ光がはねかえって、ちがう方向へ折れ曲がります。みなさんも晴れた日には、鏡を使って光あて遊びをしたことがあるでしょう。

このとき、鏡の向きによって光もいろいろな向きにはねかえることがわかります。このような光のはね返りのことを反射といいます。

鏡以外の物体でも、それにあたった光の一部はその物体に吸収されて熱となりますが、残りは反射光となって別の方向へ直進します。それが私たちの目に入れば、その物体の色や形としてわかるのです。

 

水のような透明な物質でも反射がおこります。水面に対して小さな角度で入ってくる光は、屈折せずにすべて反射してしまいます。水平線に夕陽が沈むとき、水面が美しくキラキラ輝いて見えるのはこのためです。

ゆるく曲がったプラスチックの棒に、上からレーザー光が入ると、両側のかべにあたりながら、何度も反射をくり返します。しかし、棒の両側のかべから外へもれていく光はあまりありません。

これは、水面に小さな角度であたった光がすべて反射してしまうのと同じ原理で、光はプラスチックの棒の中だけを反射しながら進んでいくのです。光ファイバーもこの原理で中を光が伝わっていくのです。

川の底にある美しい石をとろうとしたら、思ったより深いところにあったとか、水の入ったコップの中のストローが折れているように見えたなどの経験がありますか。

また、真夏の暑い日に道路の遠くの方に水たまりが見え、近づいてみるとなくなっていた(にげ水)というような経験はどうですか。

 

《かんたんな実験をしてみます》

水の入っていない水そうの中においた10円玉が半分見えています。この水そうの中に水を入れていくと、10円玉は全部見えるようになります。しかも、10円玉は、水の深さの1/4だけうきあがって見えます。

これらのことは、なぜ起きるのでしょう。

 

水そうの下の方に濃い食塩水を入れ、上の方にうすい食塩水を入れ、ななめ上から細い光を通します。

すると、光は、空気中からうすい食塩水に入る境目と、うすい食塩水から濃い食塩水へ入る境目とで、折れまがって進みます。

この折れまがることを屈折ということは知っているでしょうが、屈折には、きまりがあることは知っていましたか。

光は、こさ(密度)のちがうものの境目で、濃いものの方へ(密度の大きいものの方へ)まがって進むのです。

10円玉がうきあがって見えるのは、光が屈折するからなのです。

 

万有引力で有名なニュートンは、光が「粒」だと考えました。ニュートンは、光が粒でなければ、光の直進や反射がうまく説明できないと考えました。(光の粒子説)

そして、光の屈折については、水の中では光の粒の速度がはやくなるので、下の方に道をまげるのだ、と考えたのです。

光の広がるのを水面の波とくらべて考えることは古くからありました。(光の波動説)

 

この波動説でいろいろな光の現象の説明に成功したのは、ホイヘンスで、1678年のことでした。

あとで、水中の光の速さは空気中の光の速さよりおそいことが実験で証明されたため、ニュートンの粒子説はまけてしまいました。

日あたりのよい砂浜などの向こうがわにある物が、ゆらゆら動いて見えるのが「かげろう」です。

冬、ストーブのまわりでも同じようなことがよく見られますね。

 

水の中に電熱線を入れて電流を流すと、電熱線のまわりの水があたためられます。あたためられた水は密度が小さくなり、上ヘ動きます。そこへ光をあてると、光はふくざつに屈折しますから、水はゆらゆらゆれて見えるのです。水の中のかげろうといえますね。

水の中に濃い食塩水を入れたときのモヤモヤも密度がちがうために光の屈折がおこって見える現象です。

しんきろうも、空気の密度のちがいによっておきる光の屈折で説明ができそうですね。

しゃぼん玉や水にうかんだ石油などの表面にきれいな色がついているのを見たことがあるでしょう。あの虹のような色はなぜできるのでしょう。

水にうかんだ石油などに光があたります。すると光は、石油の膜の表面ではねかえったり(反射)、石油の膜の裏の面で反射したりします。

石油の膜の表と裏とで反射した光は、?のほうが道のりが遠いため少しズレてかさなります。2つの反射した光がかさなったとき、光の成分(波長によって色がきまっています)のうち、あるものは強められ、あるものは弱められて、強められた成分の色がつくのです。これを光の干渉といい、干渉によってできる色を干渉色といいます。

膜の裏面で反射する光1と、膜の表面で反射する光2とが重なり干渉する。このときの位相差が波長の整数倍なら光は強く、半波長の奇数倍なら光は弱い。入射光が白色光なら、その成分のうち、あるものは強く、あるものは弱くなり、1+2は有色光となる。

 

しゃぼん玉も、うすい膜の表と裏とで反射した2つの光が、互いに強めあったり弱めあったりしています。あの美しい色は、光の干渉によってできるのです。

大きなしゃぼん膜を作ってみましょう。棒の両はじにそれぞれ太いひもをしばりつけ、棒をたっぷりとしゃぼん液につけて、水平にゆっくり上げていきましょう。棒が上がるにつれて両はしについた2本の太いひもとの間に大きなしゃぼん膜が作られます。

棒の下の方には、光の干渉によってできたきれいな虹色の模様が見られます。これを干渉色といいましたね。

続けて棒を持ち上げていくと、膜はますます大きくなり、干渉色が流れ模様を作りながら、だんだん変化していくのがわかります。

これは、しゃぼん膜のあつさが変わることによって、光の干渉のしかたも変化するためなのです。

さて、みなさんはどれくらいまでしゃぼん膜を大きくのばすことができるでしょうか。

 

《ニュートンリング》

ガラス板の上にレンズをおいて、光をあてると縞模様があらわれます。ニュートンリングといいますが、これも光の干渉によっておきるのです。

レンズを通ってガラス板に反射してもどる光と、レンズの曲面に反射してもどる光とがズレて重なります。このズレかたによって、干渉じま(縞)ができます。

縞模様になるのは、それぞれの光ののズレの大きさによります。ズレが波長の整数倍なら光は強くなり、波長の半分の長さの奇数倍のズレなら弱くなることが交互におきて縞模様になるのです。

へいや建物のかげにいる人の声は聞くことができますが、その人を直接見ることはできません。

波の性質をもっているものは、まっすぐ進みます。波の性質をもつ光がさえぎられて、へいのかげの人が見えないのはあたりまえです。

では、音も波の性質をもっているのに、へいのかげの音を聞くことができることは、どう考えたらよいのでしょう。

実は、波の性質をもったものには、さえぎる物のかげへまわりこむ(これを回折といいます)という性質もあるのです。そして、波長が長いほどよく回折するのです。音は波長が長いのでよく回折し、光は波長が短いので少ししか回折しないのです。

 

光でも、波長の長い赤い色の光は、波長の短いむらさきの光より回折しやすいことが知られています。

 

光が波の性質をもつことは、17世紀にオランダのホイヘンスによって主張されました。その後、1803年にロンドンの医師だったヤングは、2つの小さな穴に光を当てる実験を行いました。そして2つの小さな穴を通る光は、おたがい干渉しあってかべに縞模様を作りだすことが示されたのです。

これは、光が穴を通るときに回折をしていることの証拠となり、光が波の性質をもっていることを決定づけることになりました。

 

《指のすきまから電球の光を見ると・・・》

人さし指と中指とをならべ、目をできるだけ近づけ、そのすきまから遠くの電球を見てごらんなさい。

指のすきまを少しずつせまくしていくと、電球の形が見えなくなる少し前に、電球の光が指のすきまと直角の方向にのびて見えます。指のすきまの幅よりも明るいところが、大きく見えるのです。

これは、みなさんがかんたんに見ることのできる光の回折です。

 

 



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