コンロの上で、グラグラふっとうしているやかんに、直接さわれません。しかし、やかんのとっては、さわることができます。これはなぜでしょう。これは、熱の伝わり方のちがいから、おこるのです。
では、熱が伝わるとは、どういうことなのか、考えてみましょう。
熱は炎に近い方から順に伝わっていきます。このような熱の伝わり方を「熱の伝導」といいます。熱は温度の高い方から低い方へと順に移ります。そして、つながっている物なら、どんどん伝わっていくので、やかんもコンロの炎のあたる所から、周囲に向かって次第にあたためられてきたのです。
そうすると、やかんのとっての所にも、熱が伝わってあつくなるはずです。ところが、とっての部分はあまりあつくなっていません。なぜなのでしょうか。
物には熱を伝えやすいものと、伝えにくいものがあります。そして、物によって熱の伝わるはやさの度合いが決まっています。
これを、熱伝導率といいます。右の表は、主な物の熱伝導率を表わしたものです。熱の伝わりやすい物は、熱伝導率が大きく、反対に小さいものは、伝わりにくいのです。
木材やプラスチックなどは、非常に熱を伝えにくいものです。また、熱を伝えやすい金属の仲間でも銅とステンレスでは、銅の方がはるかに熱を伝えやすいのです。
やかんのとってをさわってもあつくないのは、とっての部分に熱伝導率の小さなプラスチックなどを使っているためなのです。
さて、空気や水はどのように暖まるのでしょう。
皆さんは、お盆のころ、ちょうちんのなかでかげがクルクル回る、「まわり燈ろう」を見たことはありませんか。燈ろうの中には、電球(昔はろうそくの火)しか入っていません。たった一個の電球でどうして回転するのでしょう。どうも、中の空気の動きに関係ありそうです。そこで、試験管の中の空気を下から熱した時と、上から熱した時について確かめてみました。
試験管を下から熱すると、すぐに中の空気全体が暖まりますが、試験管の上を熱すると、全体はなかなか暖まりません。このことから、暖められた空気は、上には行きますが、下にはなかなかさがってこないことがわかります。
では、空気の動くようすを右の図のような装置で、調べてみましょう。電熱線で暖められた空気は、そばにある線香の煙が上に行くことで上昇していることがわかります。また、上昇した空気が氷で冷やされると、下に移ることも、線香の煙のようすでわかります。
このように、グルグルまわりながら、空気全体が暖まっていくことを、対流といいます。まわり燈ろうの仕組みも、この空気の対流を利用したものなのです。
ストーブのある部屋の空気も、この対流によって暖まります。また、おふろの水ややかんの水も、この対流によって温まります。