平面鏡によってできる像は、実物と同じ大きさになり、実物から鏡の面までの距離と同じ距離にできます。左右反対の像が鏡にできることになるのです。
また、自分の顔を全部うつすのに必要な鏡の長さは、顔の長さの半分あれぱよいこともわかります。
球面鏡
鏡には平面鏡のほかに鏡の面が球面になったものがあります。球面鏡とは球面を反射面にしたものをいいます。球面の内側を利用するものを凹面鏡、外側を利用するものを凸面鏡とよんています。
このような球面鏡は、レンズと同じはたらきをしますが、特に、凹面鏡は鏡をかなり大きく作ることができるので、大きい像を得るときに使われています。
《鏡で反射する光の進み方》
球面鏡(凹面鏡、凸面鏡)に当たる光の進み方にはつぎのようなきまりがあります。
(1)光軸に平行な光は、球面で反射したあと、焦点を通る。
(2)焦点を通る光は、球面で反射したあと、光軸に平行な光となる。
(3)球心を通る光は、球面で反射したあと、同じコースを戻ってくる。
(4)鏡の中心で反射する光は、上図のように進む。
凹面鏡
オリンピックの聖火の採火式はギリシヤのオリンピアで凹面鏡で日光を集め点火します。また、凹面鏡に物をうつしてみると、像が大きく見えたり、さかさまに見えたり、見えなかったりします。このようなことはどうして起るのでしょう。
まず、凹面鏡に細いスリットを通った日光を当ててみましょう。すると、下の図のように、光は1点に集まることがわかります。これが日光を集めて高温が得られるひみつなのです。この光の集まるところを凹面鏡の焦点とよんでいます。
つぎに、像のできかたが、いろいろと変わるのはどうしてでしょう。
(1)物体が焦点よりも内側にある場合⇒像が大きく見える
(2)物体が焦点より外側にある場合⇒さかさまに見える
このような凹面鏡の性質を利用したものに、反射式望遠鏡があります。反射式望遠鏡で見ると、次の図のように物がさかさまに見えます。
《凹面鏡のいたずら》
筒をのぞくと、暗やみの中に水道のじゃ口がうかんで見えます。さて、そのじゃ口を手でつかんでひねってみましょう。つかもうとしても、じゃ口は空気のように手の間をすりぬけてしまいます。ふしぎですね。
凹面鏡の性質を利用するとこんなこともできてしまいます。凹面鏡は焦点の外側に物体を置いた場合、その像は倒立して、実際に球面で反射した光が集まってできる像(実像)ができているのです。水道のじゃ口は黒い筒の下にさかさまについており、これが焦点の外側にあるので、水道のじゃ口の実像はふつうの状態で見えるのです。
凸面鏡
曲がりくねった道路のはしに、右の図のような大きな鏡を見かけることがあります。この鏡にうつる像をよく見ると、とても広い範囲がうつっています。自動車を運転する人にとって曲がりかどの様子がよく見えることは安全な運転をする上で大切なことなのです。
では、凸面鏡の像はどのようにできるのでしょう。近づいたり遠ざかったりして、像のでき方を調べてみましょう。
スリットに通るように光を当ててみると、光は広がって集まることはありません。平面鏡と同じように鏡のうら側に小さな像(正立の虚像)ができています。
このように物体を凸面鏡からはなすほど小さな像ができ、広いはんいの物をうつすことができるのですね。
これが自動車のサイドミラーに凸面鏡が使われているわけなのです。
波面鏡
波面鏡は凹面鏡と凸面鏡が組み合わさったものです。
近づいたり、はなれたりしてみましょう。体の上と下とでは像がどのように変わるでしょう。
波面鏡に近づくと上半身はのぴたように大きく見え、下半身はちぢんでしまったように見えてきます。
今度は、はなれてみましょう。上半身はゆがみ、下半身はちぢまったまま、さらに小さい像になっていきます。